ウエットとは、水彩画の描き方で紙を濡らして、濡れているうちに色を塗っていく技法です。初級ということで、難しいことは考えずに実践していただければと思います。色が混ざると難しくなるのでここでは単色で解説していきます。
まずは、全体の流れです。
①紙を濡らしたら30秒ぐらい待ちます → 紙に水がなじむのを待ちます
②色を塗るときは、筆で画面を触る回数を減らします → あ~でもない、こ~でもないと、筆で絵の具を動かそうとしません
③自然に広がる絵の具を見て楽しみます → できた状態を受け入れます
④あっ!!ここでいいな~というところでドライヤーで乾かします → 絵の具の広がりを止めます
ドライヤーはゆっくりとした温かい風で、遠くから当ててください。
全体をまんべんなく均等に乾かすのがベストです。
では、具体的に実際の流れを見ていきましょう。
ウエット 初級 実技
必要な道具
- 水彩紙 (ここでは、ヴィフアール水彩紙 中目 F4を使っています ※描いている面積は15㎠ぐらいです)
- 絵の具 任意
(ここでは、ウインザー&ニュートン社 青【ウインザーブルーレッドシェード】【アリザリンクリムソン】を使っています) - 筆数本 任意 (ここでは、平筆、丸筆ともに馬の毛使っています)
- 筆洗器、パレット(ここでは使い捨てのペーパーパレットを使っています)
- 雑巾、ティッシュペーパー
- ドライヤー
実技
水を塗る
平筆で紙にまんべんなく水を塗ります。ヴィフアール水彩紙は、最初は水をはじきます。筆で何度も塗りこむようにします。
【紙を光らせて塗りもれがないか確認します】
紙を持ち上げて角度を変えてみると濡れているところが光ります。光らないところは濡れていないところです。
色を塗る
30秒ほど経ってから色を塗っていきます。塗ると描きましたが、絵の具を置いていくという感覚に近いです。
この時、塗った色が流れたり、ものすごい速さで広がる(踊るともいいます)ときは紙の水分が多い時です。水を塗った筆を雑巾で軽く絞って水分を吸い上げて減らしてください。
色によって、広がり方が違います。試してみましょう。
特に、赤系統の色に広がりやすい絵の具があります。広がるときに水を一緒に持って行ってしまうので赤い色から乾くという傾向もあります。赤と言っても色々な種類やメーカーの違いもあるので、お手持ちの絵の具がどのような性質か試してみるといいと思います。
ドライヤーで乾かす
頃合いをみてドライヤーで乾かします。全体にまんべんなく、遠くから当てます。
表面の水分がなくなり、紙の芯だけが濡れている段階になったら、強い風に変えても問題ないです。
完成
乾くと濡れていた時より薄く見えます。どのぐらい薄くなるかを覚えておき、絵の具を塗った時の濃さを逆算して決められるようになるといいです。
以上が、ウエットの描き方です。
まとめ
コントロールしようと思わず、できた形を受け入れる心づもりの方が楽しいです。
水彩絵の具の塗り方の基本は、ドライとウエットです。ドライとウエットの組み合わせで描いていきます。
ウエットを利用した作品
背景をウエットで描きました。他にマスキング液、ドライの技法を使っています。