以前、私の教室の生徒さんに、絵画とイラストの違いってなんですか？と聞かれたことがあります。同様に、画家とイラストレーターの違いについても質問を受けたことがあります。
私のプロフィールにはイラストレーターと画家と書いていますが、実はその線引きってとても曖昧なもので、私自身、明確に分けることができません。
20年この世界で活動してきていますが、多分、個人個人でその“定義”が微妙に違うのかなと感じています。
ここでは、私の個人的な考えをコラムにしてみました。
取り留めのない内容になっているので、興味のある方だけ続きを読んでみてください。
絵画とイラスト、画家とイラストレーター？
画家とイラストレーター
絵画とイラストの違いより、画家とイラストレーターの違いから考えていった方が分かりやすいと思います。
ウィキペディアでは、画家とは「絵画を制作する者の総称である」とありました。イラストレーターは「イラストレーション（イラスト）を描くことをを生業としている人のこと」とあります。この表現は私の中ではしっくりきています。ふたつの大きな違いは、イラストレーターは生業としているとあるように、これは職業を指す言葉です。画家とは絵画を描いていたら名乗っていいもの、特に生業としているしていないは含まれないと感じます。なので画家という言葉は職業を指すのではなく、「活動」「立ち位置」「心意気(いい意味の方です)」を指す言葉ではないかと思います。
なので、
イラストレーターは、イラストを描く職業を指す言葉
画家は、絵画を描く活動をしている人(生業にしても、していなくてもそこは関係していない)を指す言葉
ということになります。
絵画とイラスト
では、続いて絵画とイラストについて考えていきたいと思います。
また出てくるウィキペディアですが、ウィキペディアで絵画とは「物体の形象を平面に描き出したもの」とありました。イラストは「イラストレーションは情報を伝達する媒体の1つであり、目的に沿って作成される絵や図像であり、情報の図解という性格を持つ。マスメディアを通じて社会の中で機能することを大前提としており、グラフィックデザインの中の分野でもある。そのため、作家自身の世界を一貫して追求する芸術・美術とは性質が異なっている」と書かれています。よくわからないという方向けに最後の部分に注目し言い換えていきますが、「作家自身の世界を一貫して追求する芸術・美術とは性質が異なっている」つまり、イラストは「作家自身の世界を追求し過ぎないで、目的に沿って描かれた絵」ということだと思います。
ここで、前述したイラストレーターは職業ということが関係してきます。職業として成り立つには需要と供給という関係があります。
つまり、イラストは「こういう作品が求められて」（需要があって）「そういう作品を描く」(供給する)ということです。
しかし、絵画をイラストの定義の逆だとすると「作家自身の世界を一貫して追求する芸術・美術」ということになります。また、画家は職業ではないとすると、需要と供給がなくても成立するのです。よって絵画とは「作家が一方的に追及していってできた作品」ということになります。
画家が「こんな絵を描いちゃったけど、どう？」と発表して、「いい！！」となるか「あまり・・・」となるかの世界なんだと思います。
明確に線引きはできない
上記のように、絵画とイラスト、画家とイラストレーターは、言葉のジャンルに微妙な相違があります。画家とイラストレーターが同じ「職業」を指す言葉だったならば、線引きをすることもできたでしょう。しかし、これらの言葉は似ているようで同じライン(分類)上にないため、明確に分けることができません。また、ちょっと重なっている部分があるので厄介です。
例えば、注文(需要)によって描いた絵を「イラスト」と定義すると、レオナルド・ダ・ヴィンチが皇帝などに頼まれて描いた作品はイラストとなってしまいます。一般的にはそうは言わないでしょう。また、イラスト、イラストレーターと呼ばれている人の中には、自分の世界観をもって制作し脚光を浴びている方もたくさんいます。それらの方に「いや、あなたは画家で、この作品は絵画だ！！」ということはナンセンスです。
つまり、作家がどういう定義で自分の作品を絵画と呼ぶか、イラストと呼ぶか、また、自分自身のことを画家というか、イラストレーターと呼ぶかは自由に決めていいということだと思います。
私はというと。。。イラストの仕事を頼まれているな～という時にはイラストレーターを名乗りますし、個展や公募展会場で画家ですと言ったりします。その場の空気を読んでやっています。若い時には「画家と呼ばれたい！！」という憧れもありましたが、今はどうでしょう。
ん～～～
困ったときは「絵描き」と名乗ります。