技法と描法について 水彩画技法

水彩画の技法と描法について

2023年1月6日

水彩画の技法は細かくわけると沢山あります。中には似ているけど微妙に違うものもあるので混乱される方もいらっしゃるようです。
ここでは、色々な技法を私なりの考え方で整理してみました。

また、ここに記載するか迷いましが、後半には描法(びょうほう)についても記載します。

「技法」と「描法」の違いを大まかに、技法は絵の具を塗る技術、塗り方の単体の技術のこととし、描法は絵の描きはじめから終わりまでの一連の描き方とします。ただし、以下にまとめるにあたり分類的に描法にした方が分かりやすいと感じたものは私の感覚で調整しています。

水彩画の技法

ドライ

ドライとは、紙が乾いている状態で色を塗る技法です。

ウエット

ウエットとは、はじめに綺麗な水で紙を濡らし、濡れている間に色を塗る(置くと伝えた方がニュアンス的に合っているかもしれません)技法です。

一般的には、ウエットで大まかな色を塗って、乾いてから、ドライで仕上げていきます。

バックラン

バックランとは、塗った色が半乾きの時に綺麗な水を落とし、花のような模様を作る技法です。水を落とすタイミングが半乾きという特殊なタイミングです。ウエットとドライの中間の水加減なので、ウエットとドライと同等の扱いにしました。また、水彩画らしい表現というのも、このバックランが代表例だと思います。

以上の3つが、水彩画技法の基本になるところだと考えています。

その他

ドライブラシ

ドライで描く技法の仲間ですが、わざとかすれたようにして描く技法です。

リフティング

塗って乾いた色を、水が付いた筆などで擦り浮き上がらせて色を取る技法です。

マスキング液

マスキング液という液体を使って、あらかじめ好きな形にマスクしておきます。液は乾くとゴム状になります。そこは気にせず周りを塗り、絵の具が乾いてからゴムを指などではがすと、色が塗られていない部分が出てきます。

ドロッピング

筆に絵の具を含ませ、筆を勢いよく振り、紙の上に絵の具を垂らします。周りが汚れるので注意が必要です。

ドリッピング

水分の多い絵の具を紙の上に垂らします。垂れた絵の具にストローを近づけて息を吹き、絵の具を飛ばします。

色を塗って乾く前に塩を振りかけると、乾いたときに模様ができます。

スパッタリング

網をつかいます。固めの筆に絵の具をしみこませ、紙の上で網をこすります。すると綺麗な細かい丸い粒が出来ます。ドロッピングは勢いのある粒、スパッタリングは円の形になります。

まとめ

まだまだ、挙げるときりがないほどたくさん技法がありますが、私が使う技法の中で頻度の高いものをまとめてみました。

中でも、ドライブラシとリフティングは奥が深い技法です。機会があれば、細かく解説したいと思います。

水彩画の描法

明るい方から塗る方法

水彩画では王道なごく一般的な描法です。明るい色から塗り、中間色、最後に暗い色と塗り進めていきます。色が濁りにくいのが特徴です。しかし、最後に暗い色を塗るので、最後に塗った色が近くにあるように飛び出して見える現象が起こります。例えば、家の窓を黒く塗る、トンネルの穴を黒く塗るとその黒が飛び出して見える時があります。そのような時は「バルール(調子)がくるっている」と表現しますが、原因は暗い色の彩度(暗い色にも鮮やかな黒と鈍い黒があります)が高いことや、エッジ(輪郭)の処理の仕方、隣の色との配色など、様々な要因が重なって起こってしまいます。

重色(じゅうしょく)

重色とは重ね塗りのことを指します。ウェット・オン・ドライともいいます。混色方法のひとつです。パレットで混色するのとは違い、色を塗っては乾かし、塗っては乾かして、微妙な色を作っていく方法です。透明水彩では紙質に左右される描法です。色落ちしにくい紙(アルシュ、ウォーターフォードなど)で行うといいでしょう。

グリザイユ法

グリザイユ法はグレー系の色で先に陰影をつける描法です。その後、明るい色や中間色を塗っていきます。最初の段階で陰影を付けると形が分かりやすくなります。また、紙の白と暗部との階調の幅が掴みやすく、中間色が塗りやすくなります。そのためバルール(調子)の間違いは起こりにくくなります。デメリットとしては水彩画で行うと、色が濁りやすい点です。透明水彩では最初の段階で最暗部を100%の濃さでは塗らず、50~60%で塗り、明るい部分、中間色を塗り重ねてから、最後に最暗部に加筆するという流れがいいと思います。それでも濁りやすい描法なので、夕暮れや霧、雨の風景など全体的に濁っても問題ない題材の時に使うといいでしょう。

グレーズ(グレージング)

透明性のある絵の具を重ねることにより、パレット上での混色では出せないような、深みのある色になります。私はパレットで色を混ぜることを混色するといい、重ね塗りして色を混ぜることを重色(じゅうしょく)というように使い分けています。重色とグレーズを同義として使われる方もおられますが、私は最後の重ね塗りを指すときに使う言葉として使います。それは、グレーズとは陶器のうわぐすりを塗ることに語源があるためです。

まとめ

以上が、描法についてでした。
これから、具体的に例をブログで紹介していけたらと思っています。記事が出来たらこちらから飛べるようにしていきます。

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