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水彩画の値段のつけ方

2025年1月8日

はじめて個展をする時などに、自分の作品に値段をつけるかどうかを迷ったり、どのぐらいの値段をつけるといいか分からなかったりということがあると思います。ここでは、水彩画をメインに値段のつけ方、考え方を書きたいと思います。

水彩画に限らず、絵を「売る」「買う」とはどのようなことなのか?

では、絵を「売る」「買う」とはどのようなことなのでしょうか?
難しい言葉でいうと、「所有権」の譲渡ということになります。例えば、1万円で絵を買った人は、1万円でその絵を所有する権利を得たということになります。よく絵で話題になるのが「著作権」です。著作権とは著作者に与えられた権利で、無断でコピーされたり、無断で使われたりされないための権利です。
一般的に販売している絵は「所有権」だけのやり取りです。「著作権」は著作者に残ります。

例えば、絵を購入して、その絵を自分の年賀状のメインの絵にして送ってしまった場合、著作権侵害になる可能性があります。自分が所有している絵だからといって、著作者に無断で複製し、その他大勢の方の目に触れるような機会を作ってはいけません。上記の場合、印刷したものを販売して利益を得たかどうかは関係ありません。
ただし、購入した絵を自分が経営しているお店に展示し、大勢の方の目に触れたという場合は著作権侵害にはなりません。所有権の範囲内だといえます。

絵の値段はキャンバスサイズで決める

一般的に絵画の値段のつけ方は作品の大きさです。例えば、キャンバスサイズの1号の値段を1万円と設定した場合。4号の絵は4万円。10号の絵は10万円となります。この場合キャンバスサイズの頭につくF、P、Mの英数に関係なく同じ値段になることが多いようです。(ただし、Sだけ面積が大きくなるので、次の号数の値段になることがあります)
私のようにキャンバスサイズに関係なく制作している場合は、近い号数で算出します。4号と6号の間の寸法の場合、5号というキャンバスサイズはありませんが、5号で計算します。因みに私の場合、5号で計算するのは360×268㎜のサイズです。これ以外に4号と6号の間の寸法で作品は描きません。大きさでちゃんとした基準を作るようにしましょう。

はじめて値段をつける際、やらない方がいいのは感情で値段をつけることです。
この絵は想い入れがあるから他と倍の値段。この絵は他より時間が掛かったから高くしよう。という感じです。お客さんからすると、同じ大きさの絵で価格に幅があると混乱してしまいます。描き手の感情は客観的な指数にはなりません。
また、タッチの違いというのも明確な基準になりにくいのですが、私の場合、現場スケッチの作品はあさっりとしたタッチでタブロー(完成作品や完成を目的として制作された絵画:ここではアトリエで時間を掛けて描いた作品の意味)とは明確に違います。販売する時は現場スケッチと明記して、タブローの半額にしています。

もうひとつは、一度つけた値段を下げないという点です。「前回、4号の絵が3万円で売れのこったから、今回は2万円にしよう」というものです。中には絵を資産と考え購入される方もいます。前回、他の4号の絵を3万で購入した人からすると、今回2万になっていたということは、資産価値が下がったということになります。絵の価格をむやみに下げるとトラブルになることがあります。一度つけた値段から容易には下げられないので、最初につける値段はよく考えましょう。

所有権譲渡、資産価値など、難しいことを上記で書きましたが、はじめての個展で値段をつける時はそこまで難しく考えなくても大丈夫です。特に資産価値とは「売却した際に現金化できるかどうか」です。美術商に持って行って買い取ってくれるかどうかということになります。これからプロを目指す方や美術学生の方は、今後のことを考えて意識した方がいいですが、趣味の範囲で考えている方はそれほど意識しなくてもいいと思います。

まとめ 水彩画の相場を知り、客観的に自分の作品に値段をつける

日本では水彩画の市場価値は低くなっています。一般的に日本画が高く、次いで油絵、アクリル画、その下に水彩画があります。勿論、作家によって、大きく異なります。
私の感覚では、百貨店で個展を開く水彩画の先生で号3万~4万(1号という意味です)といったところでしょうか。(2025年現在)
また、色々なギャラリーで水彩画の先生の作品と値段を見て、相場感を養うのもいいでしょう。

そして、ここに提案があります。
あなたのF4号の作品 額代+1万円でいかがでしょうか?

正直に「安い」「もったいない」と感じた方は、これ以上の値段をつけましょう。
あなたの絵は、プロ、アマ問わず世界にひとつしかない作品です。
もったいないと感じる値段をつけることはありません。

また、「私の作品に値段をつけるなんて」と思われている方も多いと思いますが、出来ることなら値段を付けたほうがいいと考えます。
値段を付けると自分の作品に責任が生まれます。そうなると制作の向き合い方も変わりますし、額の選び方も変わります。
数年という単位で上達の度合いに差があると思います。

因みに、私が24歳でプロになってはじめてした個展の時の値段は、F6。額込で1万でした。(時代が違うので参考にはなりませんが)

補足 値段をつける場合、会場の利用規約を確認しましょう

公共施設がやっているギャラリーなどは、販売禁止のところもあります。または販売する場合(営利目的の場合)場所代が高くなるところや、場所代の他に販売手数料が発生することもあります。
ギャラリーを借りる前に、条件を必ず確認してください。

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