水彩画を始めたばかりの方にとって、「下描き」は悩みの種になりがちです。「どこに線を引くの?」「鉛筆の濃さは?」「色が濁らないようにするには?」といった疑問にお答えする形で、今回は水彩画の下描きの考え方を丁寧に解説します。
水彩画における下描きとは?
下描きは、色を塗るときの「目印」となる重要な工程です。線を引く場所は主に以下の2つです。
- 輪郭線
- 色と色との境界線
陰影をつけると色が濁る原因になるため、水彩画を前提とした下描きでは避けましょう。

使う鉛筆の濃さと種類の選び方
色を濁らせないためには、使用する鉛筆にも注意が必要です。
私が使っているのは、三菱Hi-uniの「F」番です。粉が出にくく、線が見えすぎないのが特徴です。
- 消しやすさ重視 → HB
- 描き心地&粉の少なさ重視 → F
※メーカーによって濃さが微妙に異なるので注意しましょう
描いた後は、練り消しで軽く押さえて粉を取り除きましょう。
線は重ねず、1本にまとめるのが基本
複数の線があると、色を塗るときに混乱します。最終的には一本の線にまとめておくと、塗りやすくなります。

おすすめの線の取り方:「面取り」
塗り絵の線のように、色を塗るエリアを線で囲む「面取り」の考え方が有効です。
「面取り」で描くべき線とは先に述べた、「輪郭」と「色と色との境界線」の部分です。


しかし、「面取り」の考え方では引けない線があります。
それは、グラデーション部分です。色が徐々に変わり明確な色の境界線がない為、線を引くことはできません。
グラデーション部分 → 下描きなし

空のグラデーション部分に線はなく、色を塗る時に注意して塗ります。

グラデーション部分→線を引く場合 (色の境界線を自分で作って線を引きます)

肌のグラデーション部分に明確な色の境界線はありません。しかし、全く線がないと塗りにくいです。
その場合、色の境界線を自分で決めて線を引きます。
出来た「面取り」の線が上中央の図です。面に対して1色で塗ると上右側の図の塗りになります。この境界線部分をウエット、または水筆でぼかしグラデーションにすると肌が塗れます。実際にグラデーションにする場合は鉛筆の線は極薄く描きます。
まとめ
水彩画を前提とした下描きは、色を塗るための目印となる「面取り」された線がオススメです。
また、鉛筆の粉が絵の具に混ざらないように注意することも重要です。
ただし、鉛筆の線を活かしたスケッチ、淡彩画もあります。
ご自身が描きたい作風に合わせて、色々試してみてください。

鉛筆の線を活かした淡彩スケッチ