絵を描いて、個展やHP、SNSなどで発表をしていると、作品を使わせて欲しいという「仕事」の連絡がくることがあります。そのような時、いったいどのぐらいの価格がいいのか?どのような考えで見積もりを出したらいいのか?困りますよね。
ここでは、チラシや雑誌、ポスターなどの媒体に作品を使ってもらう時のイラスト料の考え方についてまとめたいと思います。
これからイラストレーターを目指したいという方にも参考になればと思います。
ただし、この仕事はいくらですと細かな金額はここではお伝えできません。複雑なので。。。
もし、基準となる金額が知りたい方は、私が所属している日本イラストレーター協会でイラスト料金の表が発表されています。そちらを参考にしてください。
ただ、こちらの表もあくまで参考程度に思ってください。イラストレーターによっては、全く違う場合も考えられます。
イラスト料金とはイラストの使用料
まず、イラスト料金とはどのようなものなのかご説明します。
ひとことでいうなら「著作権に裏打ちされたイラスト使用料」です。
具体的な例を交えて、ご説明します。
A社から【A4のチラシの上半分にイラストを使う。部数は1万部。カラー印刷】という案件を想像してみてください。
イラストの使用面積はA5になります。このような案件に使う使用料がイラスト料金です。
上記の内容だけに使う使用料ですから、もしチラシが足りなくなって追加で1万部刷ることになったら、追加1万部の分の使用料を請求することができます。
描いた作品の著作権は通常作家に依存します。よほど最初の契約条件に著作権譲渡の話しがない限りは著作権は作者のものです。
例え、チラシに使うイラストの内容をA社からオーダー通りに描いたとしてもです。
作者は、著作権をもっている自分の作品を使用していいか、使用してはだめかを決めれることができます。
そして使用していいという場合、その対価として使用料という形でイラスト料が発生するのです。
もちろん、作品の所有権も作家に依存します。A社のオーダーで描いた作品だとしてもA社が自由に所有することはできません。もし手描きで描いた作品が欲しいと言われた場合は、イラスト料金の他に、原画販売料を請求するか、売らないということを主張できます。
イラストと水彩画では原画販売の考え方は違ってきますが、以下のコラムも合わせてお読みください
イラスト料金の基準は、どれだけ人の目に触れる可能性があるか?
また、イラスト料金の算出には「どれだけ人の目に触れる可能性があるか」という考え方があります。
例えば、同じチラシでも1万部より2万部の方が多くの人の目に触れるので、使用料が高くなります。
また、次が難しいところですが「A社は誰もが知る上場されている一流企業」と「B社は地方の有限会社」となると、同じチラシのサイズ、同じ部数だとしても、A社の方が人の目に触れる確率が高くなるという考え方から高くなります。
なので、イラスト料のお見積りを決める際に私は最低以下の内容を伺って、総合的に判断します。
・注文される方のプロフィール、会社のHP
・媒体(新聞、雑誌、チラシ、ポスター、カレンダー、Webなど)
・カラーか白黒か
・作品掲載サイズ
・発行部数、印刷枚数
・新規描き起こしか既存の作品でいいか
・作品のタッチ(緻密かどうか)
・販売物か配布物か
・納期にゆとりがあるか、急ぎか
まとめ イラスト料は事前にしっかり話し合って決めましょう
イラスト料金はいくつかの要素が絡み合って算出されます。中々、ひと言でいえないのが現状です。また、各イラストレーターで考え方も違います。上記のように複雑に考えない方もいると思います。
仕事は相手があってのことです。分からないときは、先方のご予算を伺うというのもいいでしょう。
企業が相手なら予算があって動いていることが多いからです。また、イラストを使いたい企業から直接ではなく、間に入っている印刷会社、デザイン会社から話が来ることがあります。その方が少し安心です。なぜなら、仕事の相場観がわかっているからです。
仕事を受ける前に、事前にしっかり打ち合わせをし、双方納得のいく形になってから引き受けるようにしましょう。