水彩紙

水彩紙について(初心者向け)

2024年3月11日

水彩画を描くときに最も重要な道具は紙だと私は思います。
紙は水彩紙という水彩画専用の紙を使うようにしましょう。
小学生の時に絵の具で塗っていて、紙がボロボロになってしまったという経験もあると思いますが、あの紙は画用紙です。

水彩紙といっても種類は沢山あります。これから始めるという方は、何を基準に選んだらいいか分からないと思います。
結論から言うと、私がオススメする紙は、「ヴィファール水彩紙 中目 A4 パッドタイプ」マルマンというメーカーが出している紙です。
値段も手ごろで、クセがない描きやすい紙です。難があるとすれば、マスキング液を外すときに破れる可能性があることです。

はじめは大きすぎず、小さすぎないA4サイズからがいいと思います。
紙が大きいと、塗る面積が増えるので大変になります。
また、ハガキサイズぐらい小さいと、ミリ単位の作業になるのでそれも大変になります。

水彩紙の選び方

次に、どのうようなことを基準に水彩紙を選ぶといいかをお伝えします。

リフト出来るか、出来ないか

リフトとは水彩画の技法のひとつで、塗った絵の具が乾いたあとに水を含ませた筆などで色を落とすことを言います。
リフトが出来る水彩紙は、柔らかい表現に適しています。しかし、重ね塗りをすると色が濁りやすいという特徴があります。
リフトが出来ない水彩紙は、形がくっきりとした表現に向いています。重ね塗りをしても濁らないのも特徴です。
しかし、一度乾くと塗り間違いの修正はしにくいという点があります。

リフトが出来る紙の代表は「ワトソン/ホワイトワトソン」(muse)です。一度塗って乾いた色も、水のついた筆でこするとみるみる落ちてきます。上手く使えば上品な作品に仕上がりになる紙です。※(  )内はメーカー名
リフトが出来ない紙の代表格は「ウォーターフォード/ウォーターフォードホワイト」(ホルベイン)「アルシュ」(Arches)です。一度乾いた絵の具の定着が強く、ほとんど落ちません。私の作品の90%は「ウォーターフォードホワイト」を使っていますが、10~20回重ね塗りをしてもボロボロにならない耐久性もあります。ふたつとも高価な紙です。

この観点から見た「ヴィファール中目」は丁度、中間ぐらいのリフトのしやすさです。水のついた筆でこすっても落ちすぎず、ちょっと一生懸命こすったら取れてくれるという感じです。

紙の目の粗さ

次に考えたいのが、目の粗さです。
紙には、細目(ほそめ・さいめ)、中目(なかめ・ちゅうめ)、荒目(あらめ)とあります。アルシュは極細目、細目、荒目の3つに分かれています。
水彩画で描くなら、私は中目をオススメします。次に荒目です。
細目は繊細なボタニカルアートや紙の凹凸が嫌いな方にはいいと思います。ただ、ウエット塗る時に色が踊りやすくコントロールがしにくいと感じます。
荒目は紙の凹凸を活かした作品、荒々しいタッチや、ドライブラシといった技法、グラニュレーション(G色)を活用したい方に向いています。
はじめて水彩画にチャレンジされる方は中目でいいと思います。

綴じ方で選ぶ

水彩紙には色々な綴じ方、形態があります。

  • パッドタイプ … 1辺がのりどめされているタイプ。簡単に一枚を剥がせる。安価。
  • スケッチブック(スプリング)タイプ … リングで綴じられているタイプ。簡単にバラバラにならない。
  • ブロックタイプ … 4辺がのりどめされているタイプ。簡易的ではあるが「水張り」の効果がある。完成してから1枚はがして使う。
  • カットタイプ (綴じていない) … バラバラに入っている。
  • ロールタイプ (綴じていない) … 大作用の紙。10m巻きのロール紙が一般的。

はじめは、安価なパッドタイプがいいと思います。

その他

その他の要素として、紙の素材はパルプ紙か?コットン紙か?
素材での描き心地の違いを感じることはありません。どちらかというと「サイジング」というにじみ防止加工によって描き心地が変わるので、あまり気にしなくていいと思います。

注意点 水彩紙は浮気しないほうがいい

水彩画をはじめよう、またははじめたばかりの時は、色々な道具、紙、技法を試したいものです。
しかし、紙はひとつに決めて取り組んだ方が上達が早いです。
上でも述べた通り、紙によって描き心地は様々です。その紙に適した塗り方、向いている技法があります。
最初から紙をコロコロ変えてしまうと、自分の描き方が定まりません。前回は上手くいったのに?今回は上手くいかない?あれ?あれ?。。。となってしまいます。
まずは、ひとつの紙でしかり自分の描き方や技法を身に着けて、それから違う紙に挑むといいでしょう。

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