クサカベさんから発売になった新しい水彩絵の具「シングルピグメントシリーズ 全18色」を試してみました。
全18色で粒状化するグラニュレーションカラーと染まる色ステイニングカラーのふたつに分類されています。
ステイニングカラーは水溶けもよく発色は驚くほど綺麗です。
グラニュレーションカラーはポッターズピンクが3種類とグレーが3種類あります。
画材マニアの心をくすぐるラインナップです。
実際に作品を描いてみた感想ですが、鮮やかな色彩に描いていて心躍りました。いつも使っている絵の具とはまた違った発色です。さすがに単一顔料の絵の具です。濁りがありません。渋い絵ではなく、ビビットな色彩のモチーフに良いと感じます。
さて、この全18色では難しいところがひとつ。オレンジがパレット上での混色では作りにくいと感じました。
パレットでタートラジンイエローレーキ(18)とローダミンバイオレットレーキ(14)または、ポッターズピンク各種(04、05、06)または、クロムオーキッド(07)を混ぜても綺麗なオレンジにはなりません。
そこで、私はタートラジンイエローレーキ(18)を塗り、しっかり乾かしたあとでクロムオーキッド(07)を重ね塗りしました。(重色)こうして上記の絵のオレンジを作りました。そこまでしなくても、オレンジは他の水彩絵の具を使った方がいいと思います。
44秒と短い制作動画を作ったので、こちらも合わせご覧ください。
あと注意点としては、タートラジンイエローレーキ(18)は耐光性が★1と光に弱いという点があります。レーキという名前から染料系の顔料だと思われます。この色を使った作品では、完成後にUVカットスプレーをかけたり、額装の際にUVカットのアクリル板にした方がいいと思います。
耐光性の部分については、今後検証していけたらと思っています。結果が出たら追記します。
とは言え、単一顔料にこだわった鮮やかな色合いは魅力的です。
グラニュレーションカラーとステイニングカラーを混ぜると、自分でオリジナルの分離色が作れます。
(※分離色とは、1つの色から複数の色に分離して見える現象のことです。例えば、紫という色を水分多めで塗った時、自然乾燥させていく途中で赤と青に分離していくことがあります。全ての紫が赤と青に分離するわけではなく、このような性質をもつ絵の具を分離色と呼びます。)
分離色を理解して使いこなすには、それなりの知識と経験が必要です。
「シングルピグメントシリーズ」は全18色の色のラインナップと自分で分離色が作れるというのが魅力なので、初心者よりも中級者、上級者向けの絵の具だと思います。日ごろ使っている絵の具に+αしてみたいという方にいいと思います。