ドライ 水彩画技法

水彩画の技法 「ドライブラシ」<初級>について

2023年2月3日

ドライブラシとは乾いている紙に、筆をこすりつけるように、または素早い筆さばきで、かすれた状態になるように描く技法です。
筆についている水分が少ない方が、かすれた感じが出ます。しかし、水分が少なすぎると長く描くことができません。重要なのは筆に含ませる水の量です。

ドライブラシを使って描かれた風になびく草を見たことがありますが、個人的には具体的な何かを描くためよりも「微妙な色の変化が出来る技法」というように考えています。また、ドライブラシで出来る筆の跡も魅力のひとつです。

まずは、このページの流れです。下の写真の状態を描いていきます。

①硬い筆を用意します。

②乾いた紙を用意します。

③薄い色で、こすりつけるように、次々描いていきます。一度に完成はさせません。

④しっかり乾かしてから、2回目、乾かしてから、3回目と重ね塗りして、好みの色になったら完成です。

では、具体的に実際の流れを見ていきましょう。

ドライブラシ 初級 実技

必要な道具

  1. 水彩紙 (ここでは、ヴィフアール水彩紙 中目を使っています)
  2. 絵の具 任意(ここでは、ウインザー&ニュートン社 青【ウインザーブルーレッドシェード】を使っています)
  3. 固めの筆 豚の毛、ナイロン筆が望ましい (ここでは油彩の、豚の毛のファン筆(扇型の筆)、豚の毛の丸筆を使っています)
    ※市販の豚の毛ファン筆は、毛量が多いので、私は半分ぐらいの薄さになるようにカットしています。更に、毛先がバサバサになるようにカットしています。
  4. 筆洗器、パレット(ここでは使い捨てのペーパーパレットを使っています)
  5. 雑巾、ティッシュペーパー
  6. ドライヤー

実技

色を塗る準備をする

毛量をカットして調整した、豚の毛のファン筆に絵の具をつけます。パレットの絵の具は薄く水は多めです。筆先を雑巾にチョンチョンと2回寄り道してから描き始めます。※チョンチョンだと描けない場合はチョンと1回にします。

色を塗る

ザラザラと紙の目を浮かび上がらせるように塗ります。筆先で線を描くのではなく、紙の凹凸を浮かび上がらせるイメージです。

同じ所を塗りすぎるとウエットになってしまうので、中途半端なまま次々塗ります。写真ではバツ×を描くようにして、左上から右に、左下に行って右にというように筆を運んでいます。

重ね塗りをする

しっかり乾かしてから、同じことを2度、3度繰り返し、重ね塗りで色を濃くしていきます。

完成

下の写真は5回の重ね塗りが済んだ所です。

まとめ

ドライブラシは微妙な色の変化をつけることが出来る技法です。薄い色で何度も重ね塗りをして、求める色や濃さにしていくといいです。

応用

こちらの作品は、奥の山、林、針葉樹、遠景の畑、近景の畑、中景の緑の草地、一番手前の枯草、豆にお、にドライブラシを使っています。

水色のビニール以外は、ウエットとドライブラシの組み合わせで描いている作品です。

「秋の風物詩 豆にお」

    -ドライ, 水彩画技法